①春よ、来い(松任谷由実)
劇場版「窓際のトットちゃん」上映に際し、黒柳徹子に「独身で寂しくない?」とか神をも恐れぬ質問をした人がいたそうだが、それに対する返答が「人を愛したり愛されたりした経験があれば、いくつになっても、誰がそばにいなくても、生きていけると思います」とのことで(https://x.com/amazakeiko/status/1737268063014367410?s=20)、それの山鳥毛ver. を体現するのがこの歌。春の訪れと懐古がオーバーラップするのが美しい。越後の雪が解け春が訪れる頃を思い出すちょもさんですよこれは。きっとそうに違いない。このあずちょもは恋愛関係にあるとは限らないと思います。とにかくあずちょもといえばこの曲。クソでか感情を抱いていてくれ。
②ニュールカの歌(ヤンカ・ヂャギレヴァ)/Нюркина песня(Янка Дягилева)
あずちょもは北国が似合う! それも大陸の高緯度地方! という個人的こだわりのために選出された。一旦歌詞は置いておいてギター一本弾き語りのロシア語の響きは、哀愁が漂っていてあずちょもに合う。歌手のヤンカ・ヂャギレヴァはシベリア出身、歌もシベリアを舞台にしているので、寒々しさが格別。寒そうだし孤独が身に染みる。色んなあずちょものBGMにしたい。根がオプティミスティックで心身ともに強靭なので、荒涼とした雰囲気でも負けないのがふたりの良いところだと思います。
韻と音を踏みまくっている歌詞なので、それにしてもまあ響きが詩的できれい。でも内容はかなりツラい。英語歌詞(https://lyricstranslate.com/en/nyurkina-pesnya-%D0%BD%D1%8E%D1%80%D0%BA%D0%B8%D0%BD%D0%B0-%D0%BF%D0%B5%D1%81%D0%BD%D1%8F-nyurkas-song.html)
一人やもめの女性が主人公で「春よ、来い」と同様別離の歌ですが、こっちの方が引きずりまくっている上に荒んでいるし、色々大変な目にあっている……。TSしたときに一文字で一番順風満帆な人生を歩みそうなちょもさんにはハードすぎるとも思うのですが、性別かかわらず恋人と死別したちょもさんが凍えるような冬の日に一人聞き入って無聊の慰めにしている歌かなと思います。あのひと、暗かったり悲惨なフィクションを摂取してストレス発散にするところありそう。歌詞の人生に近いのは則宗♀だろうな。
③Love Again(Dua Lipa)
あずちょも熱烈に恋に落ちてくれ!! の願いを具現化したもの。色々恋愛で痛い目あってきたからもう恋はこりごりと思っていたところに、また恋に落ちてしまった戸惑いを歌っている。ん~これは600年ぶりの再会で再び恋して狼狽える山鳥毛! 600年前の別離で泣いてがっつり傷ついていたのにまた性懲りもなく恋に落ちてしまった、の割にはアップテンポで恋の喜びに溢れている曲でもありますが、なんだかんだ言ってそういうところありそうですよね、ちょもさん。また恋に落ちてしまった己のどうしようもなさを強いお酒を一杯ひっかけながらひとりでしみじみ哀れむ夜とかありそう。お酒を飲み干したら今この場所の恋愛をエンジョイしに戻りますが。
④Englishman in New York(Sting)
あずちょもというか長船曲。長船派はどんなところでも、たとえ馴染めなくても貫くべき美学は貫くと思います。基本的に協調性があるので浮くことはめったにないと思いますが、頑固なところは頑固そう。高らかに歌い上げられる"I'm an alien, I'm a legal alien"がかっこいい。一人でもプライドを持って己を保ち続けるところは個人主義放任主義の長船だなと思います。ジャズ調なのもおしゃれで長船ポイントが高い。しかもサックスの音色が随所で挿入され、最後もサックスで締めるので燭台切の近侍曲気分が味わえます。
⑤Подмосковные вечера/モスクワ郊外の夕べ
白夜のモスクワ郊外で散歩するソ連時代大学生あずちょも♀~~~!!! と勝手に決めて聞いています。ちょも♀ちゃん膝丈のワンピースとかスカートの女子大生似合うよ(https://megamarket.ru/catalog/details/videodisk-karnavalnaya-noch-100025714831/)。原曲が愛しい女性に向かって歌っているのが明らかなので、小豆くんに歌っていただくのも素敵ですが、古いミュージカル映画のノリでモスクワ川沿いでもお散歩しながらふたりで交互に歌ってみたり最後の連は一緒に歌って、曲が終わったらキスしてfineマークが出るとかも最高にハッピーで良い。男子大学生ふたりがぶらつきながら歌っているなりBGMで流れるのでもいいです。
⑥Moondance(Michel Buble)
情熱的に恋をするあずちょも第二弾。さっきが月夜のお散歩なら今回は月夜の下で踊ります。ブーブレの良いところは小豆さんが本気出して歌ったらこんな感じになると思えるところですね。朗々と伸びやかな声で歌い上げてくれそう。このあずちょもは性別問わず、タキシードふたりで踊るのでもドレス姿のふたりで踊っているのでも何でもいいんですが、どちらかというとブーブレの声の迫力にタキシードふたりに一票入れたい。歌詞もストレート直球口説き文句でダンスに誘っているので、小豆長光が本命を口説くときのガチモード気分を味わえます。あのひとは恥ずかしげもなく熱っぽいことを言える。長船の男なので。
⑦ひとり上手(中島みゆき)
山鳥毛はみゆきが似合う男。なぜなら情念のひとなので。
カラオケの十八番がみゆきの山鳥毛は割といると思う。みゆきは女性にしては音程が低めなので男性でも比較的歌いやすいのではないだろうか。
小豆長光にあてつけで歌う曲で「わかれうた」と迷ったんですが、「わかれうた」は男が明らかにクズなのでまだ優柔不断系心変わり男が相手の「ひとり上手」にしました。さあ、小豆さんの目をまっすぐ見て「わたしを置いていかないで」と歌うんだ。ごっちんが「『わたしと似ていない長い髪』っておつうのこと?」って混ぜっ返してくれるから。
⑧荒野より(中島みゆき)
これは小豆長光から謙信景光へのメッセージソングですよ。「僕は生きているだろう 君と生きているだろう 間にどんな時が流れても/荒野より君に告ぐ 僕の為に立ち停まるな 荒野より君を呼ぶ 後悔など何もない」をはじめとして、あまりにも全編が先達から未来へのバトンを繋ぐ歌になっている。非現存刀・小豆長光から生者へのメッセージではあるんですが、「僕の為に立ち停まるな」まで言うのは謙信君相手じゃないかな。ちょもさんにはわざわざそんなこと言わんでしょう。ただ出だしの「望みは何かと訊かれたら 君がこの星に居てくれることだ」は自分の大切な刀たちみんなに言っているのではと思う。
⑨アザミ嬢のララバイ(中島みゆき)
さすが情念の刀山鳥毛、女歌が似合う……。これは別離と喪失を経験し、それゆえに傷ついたひとに寄り添うことを知っている山鳥毛の歌です。説明長いな。「ひとりで泣いてちゃみじめよ」と言ってくれるちょもさんが一番ひとりで泣いてそう~~~。
途中で挿入される「春は菜の花 秋には桔梗」が美しくて好きです。アザミ(嬢)との対比のために入れられているのは分かっているんですが、突然歌詞にポンと投げ込まれる春秋の花の情景が歌の世界を美しく彩っている。
⑩初恋(村下孝蔵)
青春学生あずちょもです。誰が何と言おうとセーラー服か学ランです。しかしこの初恋へのそこはかとない諦めとセンチメンタルな気分は山鳥毛視点の歌じゃないかな。「風に舞った花びらが/水面を乱すように/愛という字を書いてみては/ふるえてたあの頃」とか紅顔の少年山鳥毛にしか許されない挙動だよ。小豆くんはもうちょっとストレートだし、場合によったらもっと即物的になる。あのひとセンチさはないからな。
「放課後の校庭を走る君」から安直に陸上部の小豆君でもいいと思います。部活は違うけどなんだかんだ一緒に帰るんだぜ、このふたり。一緒に下校しながらひっそり叶わぬ恋心に胸を痛めるちょもくんか。ありだな……
⑪Nous voyageons de ville en ville/街から街へ(『ロシュフォールの恋人たち』より)
珍しくBL限定あずちょもです。とにかくこの映画は楽しそうに元気いっぱい踊りまくっている男コンビふたりが印象的でな……(https://youtu.be/qMHsPJdz_rM?si=g3sY_Mi1eaPcguV0)。カトリーヌ・ドヌーヴも可愛いんだが、でも関係性萌え的には男二人に軍配が上がる! ちなみにブルーシャツの色素薄目の男とオレンジシャツの色黒目の二人組だ。もうあずちょもでええやん。作中の男どもはこのままふたりで楽しく生きていくといいよ。ただ早くお互いさえいれば女性は別に必要ないって気づきな。まあでも百合ップルあずちょもの歌でもかっこよくていいかもしれん。
それはともかく、あずちょもがこんなご機嫌にふたり旅をしてヨーロッパを東へ西へ興行しているのは夢に溢れているので、ぜひやってほしい。
⑫Fever(マイケル・ブーブレ)
ブーブレの情熱的な歌が好きなんですね。我ながら分かりやすい。ジャズのビッグバンドはやっぱゴージャスでいいよね~。大好きです。
全体の半分くらいは抑え目で歌唱するんですが、途中から急に熱っぽく歌い上げてくれるんでこれを小豆さんにやられたら卒倒ものだろうと思います。歌詞もまた官能的で、長船大人カプの名高いあずちょもにふさわしい。小豆さん→山鳥毛ならこういう口説き方しててもおかしくない。あと歌詞がfeverとはどのようなものかの説明から始まり、古来から存在したんだという話に及ぶとロミジュリとポカホンタスで具体例を出してくるという、妙に筋道立った歌詞で、そこもまた小豆さんっぽいなと思います。あのひと、割と論理立てていかに自分がその人を愛しているか語ってくれそうなので。
⑬バンクーバー(Superfly)
大陸高緯度地方、北米ver。別れを選ぶ(かもしれない)あずちょもとしてぴったりだと思います。愛も情もあるからこそ誠実にこれからどうするかを決める。それがたとえ本当の別れになったとしても。死別など外部的な要因じゃなかったらあずちょもの別れはこういう風に決まるのじゃないだろうか。「この夢が割れたら、ちがう道を行く」と岐路にいるけれど、どの道を選ぶかは各々で決まる。感情の揺れ動きだって色々思うところだってあるに違いないのに、淡々としているのも彼らっぽい。
それに歌詞の「微笑んで裏切る顔はしたくない」が良いんですよ。何しろ常に微笑をたたえている刀たちなので。あの性格と立場からして自分たちの微笑がどういう効果があって、何のために浮かべているか自覚的だと思うんですよね。人をコントロールすることに使ったことだってあるに違いない。でも今回ばかりは絶対に誠実であろうとしている。未来はどうなるか分からないけど二人の仲に対する誠実さと真剣さが感じられます。
⑭北国雪賦(第一楽章 かまくら、第二楽章 ぼんてん)
邦楽曲、歌詞なしです。構成は三弦、箏、十七絃。演奏の宮城合奏団は宮城(道雄)合奏団で東北が舞台の曲だけれども宮城県は関係ない。解説(http://yonezawa.art.coocan.jp/20090109-nagasawa-tsuitou/10-p9.pdf)によると、両楽章とも雪で閉ざされた時期のお祭りを描いているらしい。
あずちょもというか上杉イメージ曲です。毎年の行事としてかまくらや奉納を用意し、にぎやかなお祭りにも参加する上杉刀……これは米沢が舞台だと思っているので小豆さんはいないんだな。ひっそり小豆さんを思い出したりしているのかもしれない。
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